足柄地域の暮らしと環境を考える会

南足柄市の自然条件を活かした循環型社会を模索する事を目的として活動している会のブログです。

足柄地域の暮らしと環境を考える会会報104号(2017年8月3日発行)

南足柄市小田原市・2市合併」について考える その2

南足柄市を消滅させる小田原市本位の合併にストップを!

 「小田原市との2市合併」が、財政難と人口減少の解決策とされ、小田原市南足柄市中心市のあり方」に関する任意協議会が、昨年10月から毎月開催されてきました。来る8月の第9回は最終回で。ここで「市民周知用冊子」の案が承認されれば、9月の市の広報と共に配布され、各地域で説明会が開かれ市民に説明したとして、次の法定協議会に進むことが考えられます

 法定協議会終了後の市議会で「合併」が決まったら後戻りはできないそうです。「市民周知用冊子」の試作品を見た限り、合併後の行政サービスを、分野別に行政の目で判定した模式で、到底私たちの納得のいくシミュレーションではありません!

 そこで当会としては、任意協議会を数回傍聴して来た経験と、市民集会で学んだ事実から、急いで見解を述べ、皆様の参考に供したいと思います。

小田原市主導の「任意協議会」は、協議の場になっていない!

 人口に大きな差があっても、基礎自治体は対等のはず。ところが、協議会の会長が小田原市で、事務局が小田原市企画部とは? その事務局が作った原案が素早く読み上げられ、発言がなければ承認とは?精々、自分の関与する分野で異議を唱えるくらいしか出来ていない協議委員。まるでヘビに睨まれたカエルのように、合併路線に乗せられている様に見えました。

合併の方式編入合併、新市の名称小田原市、市庁舎は現小田原市庁舎

 市町合併の方式には、合併する市町が共に消滅して新市を結成する「新設合併」と、そのうちの大きい市に他の市町が編入される「編入合併」があるそうです。「方式小田原市南足柄市が編入される編入合併」、「名称は小田原市」、「新市の庁舎は現小田原市庁舎」、「議員定数は28+16=44名→28名」。こんな一方的なことが、すいすい承認されています!委員の皆様、特に我々の選んだ市議さん方、よく勉強して考えて協議に臨んで下さい!合併して南足柄市が法人格を失えば、私たち市民が馴染んできた、「ちょっと田舎の」ふるさと・南足柄市が無くなるのですよ!

小田原市の目指す「まち」と南足柄市民の望む「まち」は違うのでは?

 任意協議会で配布された資料は膨大なもので、行政の事業や定員などが小田原市南足柄市で対比されどちらを活かすか、統合するか、などが細かく記述されています。その結果、どれだけ経費節減になるかが目的です。第6,7回の資料「補助金交付金について②、③」の例を、前号で紹介しましたが、小田原市が独自の補助金等を104件も持っていて、そのうち12件が廃止なのに対して、南足柄市の独自のものはたった39件なのに24件も廃止になります。小田原市に多いのは、商工業、農林水産業、観光から畜産まで、産業振興の分野ですが、南足柄市にはそれらに対応するのが「金太郎まつり」「酔芙蓉農道」「春木径」くらいで、なんともつつましやか!もともと人口減・財政難が合併理由なのですから、それらに見合った「緊縮まちづくり」と思いきや!国の「地方創生」に乗った「行政のリストラ」の後は「民間活力による地域の活性化」という路線です。これは南足柄市の特徴と意向を無視した小田原本位の計画では?お財布が一つになったら南足柄区は、中心部の活性化の犠牲になること必至です!

南足柄市の未来は同市の市民が決めること!

(南足柄市自治基本条例・第6条-市民は、市政に自主的に参加することを原則とします。市長等は、市民の市政への参加を保障するものとします)

「新市まちづくり計画(案)」では―大規模な開発計画が真っ先に

 協議会を重ねて膨大になった資料のまとめのように、第6回には①「新市まちづくり計画(案)」②「中心市と周辺自治体との新たな高域連携体制について(案)」の冊子が配られました。には両市の年齢層別人口構成の最近の推移とこれからの推計、同じく歳入と歳出の推移などを基に、新市の人口推移や財政を推計しています。それにつづくのは大規模事業計画!と合併後の希望的財政推計。

 小田原市では「・お城通り地区再開発事業、・小田原漁港交流促進施設整備事業、・焼却施設整備事業、・小田原市斎場整備事業、・市民ホール整備、・卸売市場建替え、・市立病院建替え、・道路・橋梁等維持修繕」、とあり、

 南足柄市では第一刷には具体的な計画は記載されていなかったのに、後日に修正として、「・道の駅金太郎のふるさと、・都市計画道路千津島・苅野線、・ごみ焼却施設建設、・農道・水路・河川維持修繕、足柄産業ビレッジ構想、都市計画道路和田河原・開成・大井線、・道路・橋梁等維持修繕」が挙げられました。

 この期に乗じたように、多数示された事業の費用の出どころは、両市の行革効果と特例措置?平成の合併時に特例措置を中心部の開発に充てた所では周辺部の過疎化と共に中心部もうまく行かず負債が増えた例多いそうです。合併は財政難の解消どころか、さらに赤字を増やすのではないでしょうか?

合併に続けて、中核市移行したい小田原市巻き添えしないで

 「中核市とは、国の「地方創生政策」で人口20万ほどの都市に国や県の権限を委譲し、周辺の自治体の中で「中心市」として都市機能を集約しネットワークの核となるように位置付けられた自治体のこと。委譲される権限の主なものは保健所で、外来伝染病が増えた当節、対策が早く打てると言いますが、それには保健所長、医療監視員、薬事監視員など13種類もの専門職員・77名程の人件費が必要です。2市を合わせて、議員数、職員数、補助金などを減らしても、それ以上に出費が増えるのでは、大規模事業と共に不安です。南足柄市中核市の資格としての人口20万達成に寄与しただけでなく、その維持に応分以上の負担を期待されているのではないでしょうか? 中核市中心市も、狩川源流を抱えた「ちょっと田舎の水源の町」にはふさわしくありません!

 南足柄市のまちづくりは南足柄市の市民で!

 緑と水源に恵まれた足柄でこの地に即した子ども、若者、壮年、高齢者のそれぞれの健康な生活を考えよう!

 県内19市の中で、南足柄市は唯一、水自給率100%の貴重なまちです!山麓の湧水、狩川上流の表流水、火山性土壌の豊かな地下水が上水水源で、市全域を潤した水は、さらに下流域の地下水となり、酒匂川や海の水となります。小田原市では水道水源の80%近くが酒匂川下流飯泉堰(ここでは県営水道も取水)の水です。南足柄がこんなに水に恵まれているのは山のお蔭! 恵まれ過ぎてのんびりしていたのでは、これからは厳しい! 丸ごと山と水を活かした住みよい南足柄市にしよう! 人口減・財政難は全国どこでも同じなのですから!南足柄市は、全国市町の中で良い方から10%以内という話も聞きましたが)