足柄地域の暮らしと環境を考える会会報102号
なぜ、今、合併なのか? 南足柄/小田原「2市合併を考える会」が発足!
当会報でも何度か取り上げてきましたが、南足柄市が小田原市に吸収されて無くなりそうな計画が、市民不在の下で進められています。心配した有志が、3月から準備会を重ね、4月7日には和田河原公民館で学習会を持ちました。その席で「2市合併を考える会」の結成が提案され、「略称・合併を考える会」が発足しました。
なぜ南足柄市・小田原市2市の「中心市のあり方」に関する協議会なのか?
当日は「なぜ、今、合併なのか」のテーマで 大須真治先生(神奈川県自治体問題研究所理事長)が講演されました。「『平成の合併』は周辺部の過疎化を加速して失敗だったと国も認めて終了し、合併時の特例措置も終わったのに、今、2市はなぜ?」と思うが、これについては、昨年10月から今年3月までに4回行われた「任意協議会」を傍聴した結果から、次のように考えられるとのこと。「究極の行政改革」と言われる中核市を目指す小田原市が、さらに周辺自治体の広域連携を視野に入れながら、中核市に求められる保健所などの負担増を吸収するものとして、まず南足柄市との合併を考えていると思われること。中核市制度の特例は期限が平成32年(2020年)3月31日までなので、急いでいるのでは?とのお話でした。
先生のお話に続いて南足柄市の固有な事情を、予め依頼された数名が、それぞれの立場から、話しました(佐々木も当市の自然の特徴を話しました)。70名ほどの参加者で会場は一杯になり、多くの発言がありました。発言は多岐にわたったので、討論には至りませんでしたが、我々に知らされた合併理由が「財政難」なので、「まずは当市だけの段階で財政の問題を検討すべきではないか?」「平成の合併が失敗だったのに誰がなぜ合併など言い出したのか?」といった基本的な疑問が噴出しました。
合併のシミュレーションって?
一方で、加藤修平市長は、「合併をシミュレーションしてから賛否を決める」としていて、そのための任意協議会は、さる4月25日でもう第6回目。当市の文化会館小ホールで、市民の傍聴の下に行われました。初めて傍聴しましたが、配布された資料は重さにしてなんと685g! 字の大きさがフォント8くらいの小さい字の並ぶA3用紙の表を、有能らしい行政マンが素早く説明し、質問・意見を求める形式で協議会は進められ、13:30から2回の休憩を挟んで、終ったのは17;20頃。どこで選出されたのか不明な協議会委員ですが、これだけの諸問題をこれだけの時間で審議するのは大仕事で、事務局の小田原市役所企画部の原案を精々追いかけている感じ。両市の委員の中からも「もっとゆっくり考えさせてほしい」の声が上がりました。
任意協議会で進められているシミュレーションとは次のようなもの!
第5回の任意協議会を傍聴した渡辺さんのメモから、具体的な審議内容の一部を下に紹介します。
- 2市の各種審議会委員と、その報酬(略)など
廃止するもの:自治基本条例推進委員会委員10名以内、表彰審議委員5名以内、文化会館運営審議会委員7名以内、市史編纂委員会委員12名以内、丸太の森運営協議会委員10名以内、景観審議会委員5名。
障害者施設等通所者交通費助成 : 南足柄市の対象者2割増の財政負担が増加するため
グループホーム等利用者助成金(家賃補助) : 対象者の増加により、財政的負担が増加するため
障害者就職支度金給付費 : 対象者増(年3件の見込み)により財政的負担が増加するため
青年就農給付金、就農支援助成金 : 事業費及び人件費が増加する
以下は新たな事業に再編
小田原市在宅高齢者等福祉タクシー利用助成 : 見直す内容によって扶助費が増加する
心身障害者福祉手当(20歳未満): 小田原市の障害児の保護に対する補助――?
高齢者鍼灸マッサージ等施術費助成 : 小田原市民へのサービスが低下、廃止の方向
特定疾病治療費助成金 : 財政負担が大きすぎるため、他の事業で不足財源を賄う
訪問看護事業 : 南足柄市域に民間事業所が進出した時点で廃止
学校規模適正化学区編成 : 市域境にある学校の学区編成あり
学校司書配置 : 事業の継続を図る。直接雇用が望ましい。
公立幼稚園の在り方検討 : 合併により生じる新たな問題を含め、課題を捉え直す。
学校給食 : 小田原は共同調理場から配送、現行通り
以上、メモ書きなので聞き違いの誤りがありそうですが、「任意協議会の協議とは?」を伝えるため、敢えてお借りし紹介しました。(次回・第7回は、5月30日の同時刻に文化会館での予定。是非ご自分の目と耳で!)
「合併を考える会」の今後の計画
結成された「合併を考える会」は、代表者には和田河原の渡辺さん、事務局長には山崎の角野さん、そのほか数名の役員が承認され、役員会では、6月3日(土)に、文化会館で、「2市合併を考える市民集会」を持つことを決めました。
ぜひ、ご参加を! これを機会に南足柄市のより良い未来を考えよう!
当「暮らしと環境を考える会」も、現場を見ながら考えよう!
5月の定例会は、26日(金)に、「21世紀の森」から「浜居場城跡」を訪ねます
大雄山駅8;30集合。雨天順延。県道78号で行きますので、その周囲の方は道に出て待機。車準備の都合上、参加希望者は、5月24日(水)までに佐々木までご連絡下さい。
これは、「史談会」「金太郎ファミリーの会」の内田清先生からのお誘いで、先生の案内付きです。
合併を経験した自治体では、周辺部の過疎化と共に、地元の事情に合わせた防災や福祉、水供給などの知恵が、行政業務の効率化のために画一化され、伝統文化や地名などが失われています。当市でも、昭和の合併時から北足柄地域の僻地化が始まったので、その地域を見学・研修しましょう。